奇門遁甲の門を叩くと、多くの人が「どの要素をどう見れば、正しく吉凶がわかるのか?」という壁にぶつかります。
構成要素が多岐にわたるため、その判断基準は流派によって驚くほど異なります。
本記事では、一般的な「点数法」や「格法」が抱える論理的な難点を指摘したうえで、なぜ盤珪流が「六十四卦」による判断を最重視しているのか、その圧倒的な利点と根拠を明かします。
奇門遁甲における3つの主要な吉凶判断
奇門遁甲は、天盤・地盤(十干)、八門、八神、九星、九宮という5つの要素を組み合わせて方位を読み解きます。
その主な判断手法は、大きく分けて3パターン存在します。
点数法(合計点重視)
各要素に「吉=+点」「凶=ー点」と配点し、その合計で良し悪しを決める、最もシンプルな手法です。
※凶の点数を考慮せず、吉の点数の合計で方位の良し悪しを決める方法が一般的です。
吉格・凶格法(特定の組合せ重視)
「天鳥跌穴」などの特定の組合せが出現した際に、強力な吉(または凶)と判断する手法です。
六十四卦法(易卦への変換)
方位盤の情報を「易経」の六十四卦に変換し、卦辞や象意から事象を深く読み解く手法です。
なぜ「点数法」や「格法」では不十分なのか?
盤珪流がこれらの手法を主軸にしないのには、明確な論理的理由があります。
点数法の難点:要素間の相関関係を無視している
点数法は「それぞれの要素が独立している」という前提ですが、現実の事象において要素同士が影響し合わない(相関関係がない)ということはあり得ません。
この手法は、判断が大雑把になりすぎる懸念があります。
吉格・凶格法の難点:考慮されるパターンが少なすぎる
奇門遁甲の要素の組合せは、単純計算でも160万通りを超えます。
しかし、一般的な格法で考慮されるのは、吉凶合わせてわずか40通り程度に過ぎません。
膨大な組合せの極一部だけを見て、方位のすべてを判断することには、論理的な無理があると考えます。
盤珪流が「六十四卦法」を採用する2つの決定的理由
六十四卦法は、立卦(卦を出す方法)が秘伝とされることが多く、解説書もほとんど存在しません。
しかし、この手法には他にはない優れた利点があります。
データ分析と事例検証の精度が高い
吉凶判断のパターンが「64卦」に集約されるため、膨大な事例の検証においても、統計的なデータ分析を容易に行うことが可能です。
この客観的なデータの裏付けこそが、吉凶判断の的中精度を極限まで磨き上げることを可能にしています。
事象を「動き」の物語として捉えられる
一般的な方位術の構成要素が「単語(静止した象徴)」の組み合わせであるのに対し、六十四卦は「上卦(主語)」と「下卦(述語)」という動的な関係性を持っています。
これにより、単なる吉凶の断定に留まらず、「誰が・何に対して・どのように動くのか」という事象の推移を、一編の物語のように鮮明に捉えることができます。
【まとめ:結論】
盤珪流奇門遁甲が六十四卦を採用するのは、それが最も論理的で、かつ検証可能な手法だからです。

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