方位術とは、古代から人々に利用されてきた占術の一つで、特定の方位が持つ吉凶を予測し、それを生活や移動の指針として活用する方法です。
本記事では、その基本的な定義から種類、命術との違い、真の吉方位、効果、効果が現れる時期などについて解説します。
方位術の定義
狭い意味での方位術
狭義の方位術とは、「起点を出発する年月日時」を基に作成された方位盤を用いて、その方位盤上の「目的地の方位に入る要素(例えば、奇門遁甲の八門など)」を分析して、その移動が吉か凶かを占う占術です。
広い意味での方位術
広義の方位術には、以下のような占術が含まれます。
卜術
「占時(占う時刻)」を基に作成された方位盤を用いて、「移動する人(被占者)を表す要素が入る方位」と「目的地の方位」との関係などを分析し、その移動が吉か凶かを占います。
風水
家の向きや中心から見た各部屋の方位を分析し、それぞれの方位が運勢にどのような影響を与えるかを占う方法です。これも方位に関わる占術の一つです。
狭義の方位術の種類
狭義の方位術には多くの種類や流派が存在しますが、代表的なものに奇門遁甲、九星気学、金函玉鏡などがあります。
これらはそれぞれ異なる占術体系を持ち、分析方法や吉凶の判断基準が異なります。
九星気学
個人と「目的地の方位」との関係を五行に基づいて評価し、その方位が個人にとって吉か凶かを判断する、日本発祥の占術です。
奇門遁甲
「局数」と呼ばれる独自の数字を使い、5つの構成要素(八門、八神、九星、九天星、十干)を各方位に配置して、その要素や組み合わせから吉凶を総合的に判断する、古代中国発祥の占術です。
もともと兵法として活用されていたため、さまざまな流派が存在します。
盤珪流奇門遁甲は、六十四卦の易で吉凶を判断する流派に属します。
金函玉鏡
日の干支をもとに、3つの構成要素(八門、金函玉鏡独自の九星、十二神)を各方位に配置して、その要素から吉凶を総合的に判断する、中国発祥の占術です。
主な特徴の比較
各占術の主な特徴は以下の通りです。
九星気学 | 奇門遁甲 | 金函玉鏡 | |
---|---|---|---|
成立場所・時期 | 日本、大正時代 | 中国、紀元前 | 中国、紀元前 |
使用する盤 | 年盤、月盤、日盤、時盤 | 年盤、月盤、日盤、時盤 | 日盤 |
構成要素 | 九星 | 八門、八神、九星、九天星、十干 | 八門、十二神 九星(気学と異なる) |
吉凶 判断方法 | 個人の生年九星を本命星とし、本命星と相性のよい方位を吉方位とする。 相性は、五行(木、火、土、金、水)の相生相剋比和という原理に基づき判断。 | ①各構成要素を採点し合計点で吉方位を決める方式 ②構成要素の組合せで吉凶を判断する方式 ③六十四卦を出しその易卦で吉凶を判断する方式 などがある。 盤珪流奇門遁甲は③方式 | 各構成要素の吉凶を出し総合的に吉凶を判断、八門を最重視する。 |
補足 | 日本では最もポピュラー | 流派が非常に多い | 日本ではマイナー |
方位術と命術の違い
命術とは
命術とは、個人の生年月日時という変わることのない「命」を基に、その人の性格や才能、運勢の傾向、長期的な運命を読み解く占術です。
方位術との違い
狭義の方位術と命術は、時間を基に占う占術ですが、その違いは以下の通りです。
狭義の方位術 | 命術 | |
---|---|---|
時間 | 出発する 年月日時 | 生年月日時 |
分析対象 | 年盤、月盤、日盤、時盤 の中のいずれか一つの盤の 「目的地の方位」の部分 | 年盤、月盤、日盤、時盤のすべて |
分析内容 | 移動行為が吉か凶か、 どんな影響を受けるか | 個人の性格や才能、運勢の傾向、相性など |
吉方位とは
吉方位の分類
吉方位とは文字通りの意味ですが、実際には「理論上の吉方位」と「真の吉方位」に分類されます。
理論上の吉方位とは
ある方位術のある流派が吉方位と判断するのが、理論上の吉方位になります。
理論上の吉方位は、方位術の種類や流派によって異なります。
真の吉方位とは
真の吉方位とは、単に占術理論に基づいた吉方位ではなく、実際にその効果が現れ、運勢が向上したり目標が達成されたりする方位を指します。
理論上の吉方位と真の吉方位との関係
理論上の吉方位が、必ずしも真の吉方位であるとは限りません。場合によっては凶方位になることもあります。
その根拠として、異なる占術や流派によって吉か凶かの判断が分かれることが挙げられます。
もし理論上の吉方位が常に真の吉方位であるなら、どの占術でも吉凶の判断が一致するはずですが、実際にはそうではありません。
真の吉方位を求めるには
真の吉方位を求めるためのポイントは、以下の通り、事例を集め、占い師の力量を見極めることが重要です。
- 過去の実践事例を集める
実際にその方位が運勢向上や目標達成につながった事例を集めましょう。
これには、出発年月日時や方位といった具体的な情報が必要です。 - 占い師の力量を見極める
占い師が、過去の事例に基づいて正確に吉凶を判断できるかどうかを確認しましょう。
なお、「秘伝を伝授された」「某流派の弟子」などは、占い師が真の吉方位を判断できるお墨付きを与えるものではありません。
これらの取り組みにより、真の吉方位を見つける可能性が高まります。
吉方位効果とは
求める吉方位効果
古代
方位術は、古代において、集団兵法として、主に戦争の勝利を目的として使用された集団兵法です。
軍隊が吉方位に向かって進軍すると、軍師は的確な判断を下し、兵士は士気が高まって積極果敢に攻めるようになるため、戦争に勝利できるとされていました。
このように
吉方位の効果は、軍師の「的確な判断」、兵士の「士気高揚」などで、「勝利」に直結する要素だったのです。
現代
現代においては、戦争ではなく、個人の生活に応用されています。
「吉方位どり」などと言われ、吉方位に移動することで、やる気が高まり、
さらに「転職」、「良い出会い」、「昇格昇進」、「試験合格」、「事業発展」などの効果を求めています。
吉方位効果の限界
人間の人生における影響度は、
「命」「運」「方」の順であるとされています。
このうち、
「命」は生死や性格などの宿命、
「運」は運勢の波、
「方」は転居や新築などの方位に関わるものです。
私たちは父母と生地の交わりで生まれますが、生後に変えられるのは生地のみです。
そのため、吉方位の効果によって命運を改善できるのは、理論上は1/3、実際には1/10が限度とされています。
吉方位効果が現れる時期の目安
方位の影響がある期間
方位の影響期間は、十干、十二支、九星の組み合わせの周期に基づいています。
これら3つの要素の組み合わせは180周期であり、この期間が理論上の影響期間になります。
例えば
日盤であれば180日、月盤であれば180ヶ月となります。
一部の流派では、十干と十二支の組合せによる60周期を採用していますが、
実践経験上、180周期が正確であると考えています。
吉方位効果が現れるタイミング
吉方位の効果は、共振共鳴の原理によって現れると考えられています。
これは、移動の「出発時の十干、十二支、九星の組み合わせ」が再び巡ってきたときに、効果が発揮されやすいというものです。
具体的には、実例上、以下のようなタイミングで効果が出やすいです。
- 十二支と九星が一致する時期
- 十干と九星が一致する時期
例えば
月盤を活用する転居の場合
「十二支と九星」が一致する時期:
36ヶ月目、72ヶ月目、108ヶ月目、144ヶ月目
「十干と九星」が一致する時期:
90ヶ月目
の前後になります。
まとめ
- 方位術は、古代の戦術から発展した占術で、現代では個人の開運や成功に利用されています。
その種類や流派によって異なる特徴を持ち、特定の方位に移動することでやる気を高めたり、良い結果を引き寄せるといった効果が期待されます。 - 吉方位効果の具体的な内容は、占術や流派によって出し方が異なっています。
- 吉方位効果が現れるタイミングは、出発時の干支九星の組合せが再び巡ってきたときが多いです。
- 一般に吉方位と言われても、必ずしも吉方位効果が生じる「真の吉方位」とは限りません。
このため、占い師の力量を慎重に見極める必要があります。
「真の吉方位」を活用することで、日常生活や仕事、学業などでの成功を後押しする力を引き出すことができるでしょう。